蓮  光  寺

  ともに いのち かがやく 世界へ      浄 土 真 宗 本 願 寺 派    

     いのち見つめるお寺       見つめよういのち、見つめよう人生。教えに遇い、仏さまに遇い、自分に遇う。

広島東洋カープ・ドラフト採点2020

 
 遅ればせながら、都市対抗野球大会(社会人)を待っての、広島東洋カープ・ドラフト2020の採点である。評点は96点。限りなく満点に近い。ドラフト一位が早川投手(早大)であれば100点であった。もちろん競合を当てれば、の話であるから、96点は現実的に考えられる最高レベルの点数である。
 ドラフト前には、カープの優先補強ポイントして①即戦力投手、②右のスラッガー、③左腕、を挙げながら2020年度のドラフトを考察、予想してみた。この補強ポイントはおそらく満場一致だろうと思う。 
 ドラフト前の事前考察は、指名が終わればドラフトの醍醐味である緊張感、臨場感がなくなるため、一部の舌の肥えた「ガチ勢」以外の人にとってはいわばその賞味期限が切れたも同然と考えられてしまう。しかし、ドラフト採点はドラフト直後だけでなく1年後、5年後、10年後、更には未来永劫楽しめる類のものである。それでは早速、広島東洋カープの指名選手を追っていこう。
 まず、1位「No.1即戦力投手」栗林良吏投手(トヨタ自動車、178cm/ 83kg)を単独で指名できた。最速153km/hの速球に多様な変化球を織り交ぜる。何より持ち味は好不調関係なく「試合を作れる」こと。おそらく、早川投手、佐藤外野手(近大)、伊藤投手(苫駒大)、高橋投手(中京大中京)に次ぐドラフト番付5位相当の選手を指名できたのだから、この時点で「勝ち組」である。先日の都市対抗野球では初戦で惜しくも敗れてしまったものの、7回13奪三振の好投。2回に二点本塁打を浴びてチームは0-2で敗れたが、3回以降は被安打1と、「社会人No.1投手」を見せつけた。来シーズンはローテに入ってくるだろう。不安があるとすれば前年度ドラ1が森下投手ゆえ、周囲の期待が否が応でも高まってしまうことがプロの宿命。「15勝」など過度な期待はかけず、実際一年目にローテを回して貯金が作れようなら万々歳。大瀬良、森下、栗林の3人が貯金を作れれば、その時点で計算上はAクラスである。あとは愛車の問題。マツダなのかトヨタなのか、こちらも目が離せない。
 2位では森浦大輔投手(天理大、175cm/ 71kg)を指名。大学1年春から主力として活躍し続けタイトルも多く獲得。最終学年の秋リーグは5試合を投げて4勝を挙げ、防御率0.69と圧巻のピッチング。力感のないフォームから最速148km/hの速球、スライダー、チェンジアップを繰り出す即戦力左腕である。大卒社会人左腕では、佐々木投手(NTT東日本、西武2位)、伊藤投手(JR東日本、阪神2位)、藤井投手(JX-ENEOS、楽天3位)も残っていた中での森浦投手を指名。ここはカープのスカウトの眼力が試されるいわばドラフトの醍醐味である。先に指名された山野投手(東北福祉大、ヤクルト2位)も含め、2020年即戦力左腕のプロでの軌跡というもの、今後の一つの注目ポイントである。
 続けて3位大道温貴投手(八戸学院大、178cm/ 83kg)、4位では小林樹斗投手(智辯和歌山高、182cm/ 86kg)を指名。両選手とも外れ1位や2位の予想も多く、「この順位で指名できたか!」と驚くほどの好指名である。大道投手は大瀬良を彷彿とさせるフォームから投げる最速150km/hの質の良い速球と甘いマスク、そして黄色い歓声が武器。4年秋リーグでは36イニングで60奪三振と、驚異の奪三振率15.00を誇った、大卒ながら更なる伸びしろも期待される投手である。春日部共栄高(埼玉)出身で、高校時代は甲子園を沸かせた高橋昂也(花咲徳栄)と切磋琢磨していた。小林投手は2年の秋から急成長を遂げた最速152km/h右腕。現在のカープの2軍の投手に比べても遜色ない球質と制球力を備えており、高卒ながら意外と一軍デビューは早いかもしれない。高校時代に主にリリーフ登板だったことが4位まで残った理由との見方もあるが、今年の指名上位3人が先発でやることが予想されるので、短いイニングを前提に考えても全く問題なく、むしろ今村、中崎、中田、塹江と、高卒の中継ぎも多いくらいで、中継ぎ適正がすでに判明していることはメリットですらある。
 下位では5位行木俊投手(徳島インディゴソックス、184cm/ 76kg)、6位では矢野雅哉内野手(亜細亜大、171cm/ 72kg)を指名。並木投手は高卒一年目という素材型の投手。実績はほとんどないものの、急激に最速153km/hまで伸ばした潜在能力を買った指名で、これは4位までの投手にある程度計算が立つからこそできた指名である。長い目で見て大化けに期待したい。6位の矢野内野手は、守備と走塁は既に一軍即戦力レベル。とりわけ肩が強く、広い守備範囲に遠投128mという球界屈指の強肩を併せもつ。上本、曽根、三好といった一軍を支える中堅選手と、小園、羽月、韮澤といった若手世代のいわば橋渡し的存在として二遊間の競争を活性化させる意図もあったことだろう。「無事これ名馬」。亜細亜で鍛えられた二遊間というブランドは信頼できる。田中広輔の去就も気になる中、要を得た良い指名だった。
 育成指名では、1位二俣翔一捕手(磐田東高、180cm/ 76kg)を指名。上位指名も噂された強肩強打の超高校級捕手は、球団としては打撃を買っての内野(もしくは外野)コンバートもあり得るのではないかと私は睨んでいる。支配下での指名が濃厚だった選手を育成で指名できたのだから満足のいく指名となった。
 以上計7名の指名である。補強ポイントの投手を中心に会心の指名となった。確かにポスト鈴木誠也となれる右のスラッガー候補は欲しかったが、井上内野手(花咲徳栄高)、元内野手(中京高)とも、カープの2位指名の前で、それぞれソフトバンク1位、オリックス2位で呼ばれてしまったので仕方がない。さすがに栗林投手を差し置いて彼らを指名することは現実的ではなかっただろう。日本の4番の後釜だから、右の大砲候補であれば誰でもよいというわけではなく、素材として比肩できる者がいないと判断したら翌年以降に切り替えるのも戦略である。この一年でチームの全てを決めるわけではないのだから。そして右の大砲候補の代わりに、森浦投手、大道投手、小林投手という外れ1位~2位候補の投手を連続して指名できたのだから、むしろ怪我の功名とも言える。96点という点数をつけた理由はそこであり、大卒投手が特に豊作と言われた2020年ドラフトを知り尽くしたカープスカウト陣のなせる職人技と評価されて然るべき、文句のつけようのない指名であった。ますます魅力的となったチーム「広島東洋カープ」、来シーズンも目が離せない。「バリバリバリ」!


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